リアライン ・・・ からだのゆがみを科学する
 

組織間リリースでO脚を変える

  組織間リリース(InterStructural Release:以下、ISR®)は、関節の運動を正常化するための治療技術です。理学療法士としてオリンピック帯同を含む数々のトップアスリートの治療を通じて様々治療法を試してきましたが、ISR®は関節周囲の癒着を取り除くのに最も有用であることを確信しています。前回(http://www.glabshop.com/isr_article2/)はISR®の一般的な適用と方法について説明しましたが、今回は筋間のISR®について掘り下げていきたいと思います。
 
 冒頭のISR®がO脚を変える?という議題ですが、経験上間違いなくアライメントを変えることができます。昨年、当研究室で実施した研究において、大学生の若者でもスラストが見られることを発見しました。すでに変形性関節症への進行が始まっているということと考えられます。その膝の特徴として、大腿骨に対して脛骨が外旋・外方に偏位していること、外側には脛骨を引く強い緊張があること、そして内側にも膝を内反させるような腓腹筋内側頭とヒラメ筋や鵞足との滑走不全が認められました。つまり、下腿外旋拘縮が起こっていたということです。組織間のリリースにより、下腿内旋可動域が得られてスラストの改善が得られました。
 


下の黒部分は脛骨、GMH:腓腹筋内側頭、P:膝窩筋、S:ヒラメ筋

 
 もちろん、上肢へのISR®もあります。ご興味のある方はISR®セミナーへの参加をご検討ください。少人数でのセミナー開催となっており、確実に技術の伝達を行っています。

 

症例紹介

 

20歳代、女性、職業:事務(デスクワークメイン)、趣味:週に1回で茶道
現病歴:特にきっかけなく、半年前から正座で膝窩部に引っかかるような違和感・痛み出現。長く正座をできない。また正座からの立ち上がりが痛い。
 


◆評価・問題点
 
 評価では立位姿勢のO脚、下腿外旋、膝蓋骨外方偏位・外傾のアライメントが認められた。非荷重位のROMは問題なし。
 
 触診より、膝窩筋、内転筋群、大腿筋膜張筋の筋スパズム、筋力低下(特に内側)、膝関節伸展・内旋制限の運動障害を確認した。炎症などはなし。以上を結果因子とした。
 
 また、内側広筋、半膜様筋、半腱様筋の筋機能不全、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯、外側広筋、ハムストリングス、膝窩筋、鵞足部に圧痛があり、滑走不全・拘縮を認めた。以上をマルアライメントの原因因子とした。
 
 これらから膝窩部の滑走不全、膝関節外側の滑走不全、膝関節可動域制限を問題点として挙げた。

 

目標・治療プログラム

 
◆目標
膝関節可動域、筋機能の改善
 
◆治療プログラム
 膝関節可動域制限の原因となっている滑走不全の改善
 
1.大腿筋膜張筋、外側広筋、ハムストリングス・腓腹筋間のリリース
 
 まずは、膝外側で腓骨を後方に引き下げ、下腿外旋を作っている組織を中心にリリースをした。それにより膝蓋骨の位置、外旋の軽減が得られた。
 
2.膝窩筋のリリース
 
 その後、膝窩部で内・外側ハムストリングスの間のリリース、腓腹筋と腓骨の間のリリース、腓腹筋と膝窩筋との間のリリースなどにより、腓骨の前方偏位、脛骨の後方への可動性を引き出し、最終屈曲域での下腿内旋の可動性を改善した。これに伴い、正座のときの違和感・痛み消失し、長時間の正座も可能となった。
 


 

経過・考察

 
◆経過
 上記の治療を経て、下腿外旋を強めている、膝関節外側の滑走不全、また膝窩部の滑走不全を丁寧に取り去ることにより、症状の改善が得られた。
 
◆考察
 今回の治療により、本人も気づかない程度の膝関節伸展制限が消失し、内旋可動性の向上も得られたことで、立位姿勢でのO脚が改善された。今回は筋間のリリースをメインに行い、改善を図ることが出来たが、重症例では膝窩部に神経、血管、様々に絡み合った癒着が存在しており、より正確なリリースが求められる。しかし、正確なリリース技術によって、変形性膝関節症の進行予防を図ることが可能であると考えている。

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