足関節の捻挫を繰り返し、2回の手術後の拘縮の症例
  
  
3回の治療で拘縮に関してはほぼ解決され、健側よりも広い背屈可動域を確保できました。その後練習にほぼフル参加できるようになっていますが、時々足関節周囲の痛みが強くなる状態The superficial peroneal nerveが続いていました。足首前面の骨の衝突による痛みはなく、体表に近いところばかりでした。一通り治療して、いろいろな発見がありましたので、整理してみたいと思います。
 
 
底屈位やカーフレイズでは痛みはなく、すべてスクワット時の痛みです。つまり足関節背屈位で増強するのが特徴でした。
 
 
■疼痛①:三角靱帯
 内くるぶしの前から前下方にかけての痛みがありました。これについては以前も書いたことがありますが、三角靭帯に入る伏在神経の後枝の癒着のリリースにより、痛みは解消されました。
posterior branch of saphenuos nerver
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3633186/
  
 
■疼痛②:前距腓靭帯
 捻挫を繰り返したとはいえ、前距腓靭帯周囲には腫れがなく、広い面積で触診をしても圧痛はありません。しかし、組織間リリースのように小さな点で外くるぶしの前方を探ると、神経特有の引っ掛かりと痛みが出現しました。浅腓骨神経の枝であるintermediate dorsal cutaneous nerveと捉え、これをリリースすると痛みが消失しました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21287977
 
 
■疼痛③:腓骨の下1/3付近の痛み
 腓骨の前側に痛みがありました。腓骨をこするようにすると、浅腓骨神経の枝と思われる直径1mm以内の細い神経を発見。これを腓骨からリリースして症状は消失しました。
superficial peroneal nerve
http://www.oapublishinglondon.com/article/1272
 
 
■疼痛④:内くるぶしの後下方で長趾屈筋に沿った痛み(足根管症候群)
 屈筋支帯の深部において、長趾屈筋とほぼ走行をともにする神経を触知し、リリース時痛を確認しました。これをFDLからリリースすることにより、痛みは消失しました。
http://www.scielo.br/scielo.php…
http://www.scielo.br/scielo.php…
 
 
■疼痛⑤:アキレス腱深部の痛み
 アキレス腱自体には圧痛はなく、その奥を通る脛骨神経に圧痛が認められました。本来は長母趾屈筋と長趾屈筋との間にあるはずの脛骨神経がアキレス腱と長母趾屈筋との間に挟まれるような位置にありました。これを内側に向けてリリースし、上記の位置に移動させたところ痛みは消失。
http://www.usra.ca/…/specific-blo…/lower-limb/ankleblock.php
  
   
■疼痛⑥:前脛骨筋・長母趾伸筋の深層の痛み
 関節包に入る浅腓骨神経の関節枝と思われる神経をリリースし、疼痛は解消。背屈可動域も拡大し、健側よりも広い可動域となりました。
 
  
■疼痛⑦:踵部脂肪体内側の痛み
 脂肪体内側部に向かって下行するmedial calcaneal nerveのリリース時痛があり、これを後方から前方に向けてリリースして症状が消失。
https://www.podiatrytoday.com/keys-to-detecting-and-treatin…

このように、多数の神経由来の痛みが生じる原因は、単に捻挫による靭帯損傷によって起こることに加え、長年に渡るテーピングやアイシングの繰り返しによる圧迫の影響があると思われます。また、腫脹を伴わない慢性的な痛みの原因として、上記のような細い神経の影響がありうることを理解しておく必要があります。ハイドロリリースの良い適用ではありますが、組織間リリースでも十分対応できます。

 
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