大腿静脈扁平化?
 
 
大腰筋と恥骨上枝との間の癒着をリリースする際に、大腰筋浅層の大腿静脈の動きが悪い状態にしばしば遭遇します。その際、大腿静脈の扁平化が触知されることがありましたので、画像で確認してみることにしました。
 
  
対象は20歳代女性、触診で鼠径靱帯の遠位2cmから近位2cm程度まで、左大腿静脈の扁平化が認められ、エコーでもそのことが確認されました。写真はすべて左がリリース前、右がリリース後です。ドップラーは技術的にいまいちで流速を確実に捉えてはいませんが、扁平化が改善したのは確認されました。
  
 
静脈が扁平化している理由は恥骨上枝における急カーブと大腰筋に対する癒着が原因と考えられたため、リリースにより改善が得られました。扁平化した部分よりも遠位では流速低下が起こっている可能性があるため、次回そのあたりを正確に測定してみたいと思います。
 
 
ところで大腿静脈内の流速低下があるとすると、深部静脈血栓症、エコノミークラス症候群、静脈瘤などとの関連性が疑われます。20歳代でも流速低下が起こりうることを想定して、上記のような血管に関わる病気の機序に関与するかもしれません。このあたりは血管を専門とする方に検討してもらうとして、私としてはこの部分の組織間リリースの安全性を高めることをさらに真剣に考えてみたいと思います。
  
  
ところで、テニスボールなどで大腿静脈あたりをグリグリと圧迫して「腸腰筋リリース」と称している場合がありますが、相当高いリスクのある方法という認識を持つべきだと思います。
  
  
【CSPT、ISRセミナー受講者の皆様】
組織間リリースを習得すると、ある程度血管周囲のリリースができるようになりますが、血管内の状態まではわかりません。血管造影やエコーを用いて血管内に異常がないことが確認され、専門医からの指示がある場合以外は血管には触れないでください。血管周囲のリリースは「禁止」とさせていただきます。

  
 

 
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