リアライン ・・・ からだのゆがみを科学する
 

2018年8月7日 「椅子に座る」ことを21世紀型に進化させるプロジェクト

「椅子に座る」ことを21世紀型に進化させるプロジェクト
 
 
骨盤ケア、下肢の血流、運動不足などあらゆる観点で椅子に座ることの弊害が指摘されています。一方で、座らないとできないこともたくさんあります。大学の授業なども立って聴講する選択肢のある大学もあるようですが、やはり座っている方が集中できることもあります。(眠くもなりますが。)
 
 
新幹線や飛行機の椅子、自動車の椅子、オフィスや学校の椅子など、すべてにおいて椅子と骨盤が接しています。椅子から骨盤に加わる力により、骨盤には変形が生じます。その結果として腰部に鈍痛が生じる人も多いのではないでしょうか? 
 
 
そのような問題を解決するため、椅子の開発に取り組んでいます。骨盤を理想的な位置に保つこと、下肢への血流を維持すること、坐骨神経への圧迫を防ぐこと、一定の可動性(揺れ)を保つこと、などをテーマとしています。
 
  
これが完成したら、自動車や家具メーカーなどとの交渉を進める予定です。そのような企業の開発部門の方、また経営者の方とつなげていただける方を探しています。
  
   
また腰痛の人が集まる場所の待合などに設置して、座っているうちに腰痛改善、ということも目指したいと思っています。座っていることが苦痛な骨盤由来の腰痛に対して、大きな福音となるように開発を続けます。
  
 

 
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2018年8月7日 周産期ケアで修正すべき骨盤アライメントと重視する筋機能とは

周産期ケアで修正すべき骨盤アライメントと重視する筋機能とは
 
 
周産期ケアに取り組むにあたり、必然的に骨盤のマルアライメントを効果的に修正する必要に迫られます。その際に、どのようなマルアライメントパターンが起こりうるのかを把握した上で、体表からのアライメント評価を行う必要があります。
 
<寛骨>
前額面:寛骨下方回旋、仙腸関節上部の離開
水平面:寛骨内旋、仙腸関節後部の離開
矢状面:寛骨前後傾、仙腸関節への剪断ストレス

<仙骨>
・仙骨傾斜、尾骨変位、仙腸関節離開
・仙骨後傾、尾骨前方変位、仙腸関節counter nutation
  
  
以上に対して、筋活動がどの程度有効なのか、またどの筋の活動が有効なのかを具体的に考えていく必要があります。
 
 
1)腹横筋
 寛骨内旋に対してはマルアライメントを増強させ、寛骨下方回旋に対しては仙腸関節を安定させるという矛盾した機能を持ちます。したがって、寛骨内旋位の骨盤に対して腹横筋の単独収縮はむしろ痛みを増悪させる危険性があります。
  
 
2)骨盤底筋
 尾骨を前方に引き出す機能を持つため、仙骨後傾に対しては悪影響を持ちます。実際のところ、椅子坐位での生活が長い現代人において、尾骨周囲の癒着による仙骨後傾位はめずらしくありません。これに対して骨盤底筋の単独収縮はむしろ仙骨後傾を増悪させ、荷重位でもclose-packed positionとならない仙骨を作っていく危険性があります。
  
 
3)大殿筋・胸腰筋膜・多裂筋
 これらは言うまでもなく仙腸関節の安定化筋であり、両者の組み合わせにより仙腸関節離開を改善方向に誘導します。
 
 
以上のように、筋群ごとに骨盤アライメントに対する役割が異なることを踏まえ、マルアライメントの評価に基づいた筋の選択が必要となります。
   
   
このようなマルアライメントパターンは周産期に特有のものではありません。妊娠後期であっても、アスリートと同様のアライメントパターンがあり、その治療を的確に行うことで寝返りやブリッジでの仙腸関節痛が解消されます。妊娠後期の急性腰痛であっても、治療方針は全く同じ。まず、骨盤のリアラインを行い、その上で最低限の筋活動で良アライメントを持続してもらいます。
    
  
骨盤リアラインについては、CSPT(クリニカルスポーツ理学療法セミナー)の骨盤編で1日かけて講習しており、また徒手的なマルアライメント解消のための技術についてはISR中級編で3日間かけて講習しています。 
 

 
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2018年8月5日 腹直筋離開の対策

腹直筋離開の対策
 
 
腹直筋離開は組織損傷を伴う結合組織の損傷を伴うもので、理論上保存療法で改善することは難しいと思われます。一方で、腹直筋を寄せておくことで多少の改善は得られることが経験的に分かっています。
 
 
妊娠後期に腹直筋を内側に向けてリリースすると、腹横筋の伸張性が改善させられることに加え、腹直筋離開のリスクを減らせると推測されます。その効果については未検証ですので、いずれまた紹介させていただきます。
  
  
今回は、1回目の出産で9cmの離開が生じた方の2回目の妊娠中(27週)の方です。背臥位でクランチ運動を行うと5cmの離開があります(左写真)。この状態において、腹直筋のリリース(中央)を行った結果、3.5cm程度に離開が縮小しました(右写真)。
 
 
このことは腹直筋深部の滑走性が予防と治療において重要であるとともに、滑走性が改善したことを裏付ける指標にもなると思われます。
 
 
これについてはエコー下での測定を含めて、症例をためていきたいと考えています。
 
  
余談ですが、産後5ヶ月の女性で、内腹斜筋と腹横筋との間に通常では経験されないくらいの強い癒着が認められました。このことは妊娠後期にこれらの筋にも炎症を伴うような損傷が起こっていることが推測されます。これは産後の腹横筋機能の回復にも大きく悪影響を及ぼす可能性があります。
 
  
産後の腹筋群の機能回復のためには、できるだけ産前に腹筋群間の滑走性を改善しておくことが望ましいことが推測されます。
 

 
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2018年8月3日 産後6日目の周産期ケア

産後6日目の周産期ケア
  

無事生まれました!

 
そして6日目、予定日よりも早く、小さく生まれたおかげか、産前の骨盤ケアの効果もあってか、この時点で症状は軽微でした。
  
  
骨盤痛はごく軽度。骨盤後面の開き具合を示すPSIS間距離は産前とほぼ同程度で、極端な不安定性の増強は認められません。前屈からの起き上がり動作中や椅子坐位からの歩きはじめに少し痛みが生じる程度。上背部に少し痛みがありますが、生活には大きな影響はありません。下部腹横筋のコントロール想定通り不良。長女(10kg)の抱っこは困難。
  
  
産前に股関節周囲の癒着を徹底的にリリースしておいたので、歩隔を狭くして歩くことができます。歩行中の股関節伸展は少し不足気味ですが、可動域としては制限なし。
 
 
以上より、産後6日のケアのテーマを以下のように設定しました。
① 骨盤を固定した状態での股関節の独立した運動の獲得(荷重伝達障害の解消)
② 仙腸関節の良肢位における腹横筋コントロール
③ 胸郭前面の上下方向への伸張性獲得(肋間の拡大)と姿勢改善
④ 上背部の疼痛の解消(肩甲背神経リリース)
  
    
そのうち、①と②についてはリアライン・コアSIにまかせておけば大丈夫。わずかに右股関節内転の僅かな制限も徐々に解消され、下部腹横筋のコントロールもすぐに意識化され、コツを習得しました。動画を見てわかるように、足音を立てながらの足踏みは「荷重伝達障害」をまったく感じさせません。
 
 
③はリアライン・コアのみで今回は手作業なし、④については手作業で解決しました。
  
 
 
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2018年8月1日 臨月の骨盤ケアのゴールは「安心」と「快適」

臨月の骨盤ケアのゴールは「安心」と「快適」
 
 
周産期の骨盤の弛みについての研究はほとんどなく、弛んだ結果骨盤のアライメントはどのように変化するのかについての研究は見当たりません。妊娠後期にMRIなどの画像検査を行いにくいという点からも実施が容易ではないテーマであるのですが、少なくとも産後の骨盤の変化は縦断的に追いかけられると考え、そのような研究をスタートしつつあります。
 
 
さて、触診と治療経験に基づくと、出産前の仙腸関節痛の原因はそれほど厄介なメカニズムではないと考えています。端的にいうと、非妊娠者に生じる仙腸関節痛と同様のメカニズムによって起こり、同様の治療によって症状を軽快させることができます。
 
 
特徴的なアライメントパターンとして、寛骨内旋によるPSIS間の離開、または寛骨下方回旋によるPSISの離開のいずれかに集約されます。寛骨前後傾は胎児からの骨盤拡張方向の力により改善され、対称性は良好である例が多いと感じています。
 
 
寛骨内旋に対しては縫工筋や鼠径靱帯周囲の軟部組織のリリースによって改善が見込めます。寛骨下方回旋に対しては、関節包と小殿筋など外転筋の癒着をリリースすことで改善に向かいます。PSIS間距離を短縮させるようなアライメントに対する治療を行うことで症状は半減します。
 

その上で、中殿皮神経、上殿皮神経、長後仙腸靭帯、梨状筋付近などの結果因子に対する対症療法を行うことで、寝返り時の痛みなど主訴はほぼ解消されます。
 
 
このような治療が胎児にどのような影響を及ぼすのかについては十分分かっていません。組織間リリースによる対症療法は、薬剤を使わないという点で副作用の心配はありません。PSIS離開を軽減させるようなアライメントに対する治療は、胎児の環境に何らかの影響を及ぼす可能性はあります。
 
 
そのことを踏まえ、上記の治療は母体が「快適」であることを常に意識します。快適さの基準は痛みだけでなく、息苦しさや椅子坐位や背臥位の姿勢保持の快適さを含めて考えていきます。そのため骨盤のみの治療で終えるのではなく、少しでも腹腔容積を広げ、胸郭可動性を改善するような治療も同時に行います。その結果、日常生活の痛みの軽減、睡眠障害またはその原因の解消、そして「安心」と「快適」を確保します。
 
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2018年7月29日 セミナー受講の価値を10倍に!

セミナー受講の価値を10倍に!
 
 
台風の影響が心配される中、約100名がCSPTに参加してくださいました。腰痛・骨盤痛の治療において、理想的な脊椎運動を作るための骨盤と胸郭のリアラインと、その治療が終わったあとに残る結果因子の治療法を行います。過去2回(骨盤、胸郭)において実技を含めて治療法を経験したので、今回はパートナーのアライメントと運動学的な異常に対して効率的に治療を進めました。
 
 
さて、今日はセミナーの内容についてではなく、セミナーを受講した結果何が得られるのか、またそのセミナー受講の価値を10倍に拡大させる方法、つまり1万円の受講料を払ったセミナーが、10万円の勝ちがあったと思えるようにする方法について書いてみたいと思います。
 
  
以下は、私が20代のころからセミナーを受講するときに心がけていたことです。セミナー受講の価値は、受講中にどれだけのことを理解するかとともに、セミナー受講の翌日からの過ごし方次第でどうにでもなります。受講中の心構えとして、

① 講師の治療理論(すなわち総論)を確実に理解します。このとき、盲目的にではなく、批判的に理解することが重要です。

② 各論を各論として覚えるのではなく、総論と照合して総論と各論に矛盾がないことを確認しながら理解します。総論と矛盾がなければ、各論は一旦忘れても問題ありません。総論どおりに治療を進める上でどのような各論(治療技術)が必要なのかを理解できれば十分です。
  
③ 受講者として、それまで積み上げてきた治療についての考え方の枠組みからはみ出すもののみをメモします。つまり、聞いていて自分の考えていることと異なる部分、違和感のある部分、全く初めて聞く考え方にこそがその講師のセミナーの価値ということになります。
 
 
の3つを重視してきました。つまり各論を追いかけ回すように学ぶのではなく、講師の総論をより深く理解することに徹します。1日のセミナーを受けてメモは10行以内で十分。強いインパクトのある新しい総論的知識のみをメモします。そして、セミナーが終了するまでに、講師の治療総論を100%理解します。
 
 
さらに重要なのは、その翌日の過ごし方になります。まず、前日に学んだ総論を復習し、その総論どおりに治療を行うことを強く決意します。そして、1日、それを徹底します。各論は真似してもそう簡単に実行できるものではありませんが、総論は実施できます。そしてその後もセミナーのテーマであった疾患の治療を常に総論に従って進め、それを少なくとも30症例経験しましょう。
 
 
30症例くらい経験すると、総論どおりに治療が進まない場合に、その原因が技術の未熟さであることが鮮明に理解することができます。そして、そこからが技術研修の始まりになります。一つの総論に従った治療を30症例経験し、その上で技術の習得が不可欠であることを強く理解し、それからその技術を習得できるようにあらゆる努力を積んで行きましょう。
  
  
実用的に使えるレベルの技術を習得までの道のりは数ヶ月か、もしかしたら数年間かもしれません。私は、一つの治療理論を習得するには少なくとも3年間取り組む必要があると思っています。それにより、1日のセミナーの価値は数十倍に拡大します。

 
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2018年7月27日 ハードルのリード脚

ハードルのリード脚における坐骨神経痛、近位ハムストリング症候群、ハムストリングス筋力低下、可動域制限
  
  
想像するだけで痛そうですが、ハードル選手のリード脚に坐骨神経痛が起こると、ハードルを超えるたびに痛みが走ります。さらに体幹前傾姿勢を保てなくなり、上下動の大きい、見苦しいハードリンクが習慣化してしまいます。
 
 
坐骨神経周囲の肉離れとは異なる痛みの経過、治療に対する反応の乏しさを含めて、このままでは競技生活に影響しそうということで指導者から選手を託されました。
 
  
症状としては坐骨結節を中心に、仙結節靱帯、坐骨神経、大腿二頭筋長頭、半膜様筋、半腱様筋、大内転筋などの組織間に癒着とリリース時痛がありました。これらをリリースすることでその場での症状は消失しました。
  
  
さて、これらの症状が起こってきた原因を探っていくと、①繰り返しの殿部の打撲(以前の走り幅跳びの影響?)、②ボールなどを浸かった挫滅マッサージの影響、の2つについて考えざるを得ませんでした。
 
 
①は競技特性上の不可抗力もありますが、走り幅跳びの着地時の尻もちの繰り返しは、長期間を経て大殿筋停止部付近、坐骨結節付近の癒着を引き起こす可能性があります。これは股関節屈曲やSLRの可動域制限(またはストレッチ時の抵抗感)として徐々に現れてきます。
 
 
②は徐々に失われた柔軟性を改善するために選手が行ってきたものですが、その結果として上記の治療を妨げるような頑固な癒着を作り上げていました。少しの可動域制限に対して、どのような方法で解決を試みるかによってその後の運命は大きく変化することになります。

 
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2018年7月27日 足関節脱臼骨折後の拘縮

足関節脱臼骨折後の拘縮
 
 
先日の投稿以降、拘縮治療においてアキレス腱深部の脛骨神経の存在を強く意識するようになりました。そして脱臼骨折後の背屈制限に対して、後脛骨筋、長趾屈筋の次に長母趾屈筋ではなく脛骨神経と取り組むようになりました。それまでは直接長母趾屈筋に手を出していたこともありました。
 
  
脛骨神経が長趾屈筋と長母趾屈筋に挟まれ、さらにアキレス腱に抑え込まれているので、容易に周囲と癒着するように思われます。最初にアキレス腱/ヒラメ筋複合体を長母趾屈筋や長趾屈筋からリリースして側方への可動性を確保し、それからアキレス腱と脛骨神経の間のリリースを行います。
 
 
その後、脛骨神経と長母趾屈筋や長趾屈筋からリリースし、また関節包からリリースして正常な可動性を取り戻していきます。

脱臼骨折の場合、腓骨骨折に伴う腓骨筋と長母趾屈筋の頑固な癒着が必発するので、その解決には骨間膜も含めたリリースの完成度を高めなければなりません。これまでは腓骨筋側からのリリースのみでしたが、脛骨神経を動かしてみると、脛骨神経側から長母趾屈筋の深層にて骨間膜にまで到達できるようになりました。
  
 
なかなか大変な作業ですが、絶対に100点満点の可動域を目指します。この内容はCSPT足関節編でも実技で行いたいと思います。

 
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2018年7月26日 慢性化した関節疾患を諦めない

慢性化した関節疾患を諦めない
 
 
足首のねんざなど関節疾患は、最初は軽症であっても、しばしば頑固な可動域制限(拘縮)、慢性化した痛み、筋力低下などの機能低下、そして不安定性などが混在した慢性化した状態に陥ります。医療機関でも特効薬は示されず、それらの症状と付き合いながら競技生活を続けざるを得なくなります。その結果、パフォーマンスが低下していくと、徐々に「引退」の2文字が思い浮かぶようになってしまいます。
  
  
私の現在の治療やセミナー等での講習内容において、このような慢性化した関節疾患をしっかりと治すこと、またそれを予防することを常に意識せざるを得ない状況にあります。いろいろなトレーナーの皆さんから紹介されるアスリートは、殆どが慢性化した関節疾患に苦しんでいるからです。
   
 
関節疾患を引退理由にはさせないように、という願いを持って治療に取り組んでいます。特に軟骨がどう仕様もない状態になっている場合を除けば、「何とかできる」と信じて治療を進めます。我々が諦めれば、それで解決の道は閉ざされてしまうためです。
  
  
慢性化した関節疾患を治療するとき、
・確実に可動域制限を完全に解決すること
・可動域制限とともに、関節のかみ合わせが崩れた状態(かみ合わせが悪い)を完全に解決すること 
・これら二つの原因となっている筋肉や腱などの癒着を完全に解決すること。 
を徹底的に追求してきました。これらは運動療法では解決できないことも十分すぎるほど経験してきました。このため、運動療法以外の方法として、組織間リリースを発展させざるを得なかったという経緯があります。
 
 
関節疾患をこじれさせないこと、また一旦慢性化しても必ず解決策が有ること、を講習会等ではお伝えしたいと思っています。現場で選手のケアに当たるトレーナーや医療機関初期治療に関わる理学療法士の皆さんには、絶対に諦めんない治療を知っていただき、それを実践していただけるように環境整備を進めたいと思っています。
 
 
環境整備の一つは、治療法を学ぶ場所の提供だと考えています。私が主催しているCSPT(クリニカルスポーツ理学療法セミナー)やISR(組織間リリースセミナー)では知識と技術をお伝えしていますが、その背後にあるフィロソフィーもぜひ感じ取っていただければと思います。

 
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2018年7月23日 アキレス腱深部の痛み

■疼痛⑤:アキレス腱深部の痛み

これについては少し文献的な調査をしてみましたが、何も見つけられませんでした。症状と治療経過を少し詳しく説明します。
 
 
<症状>
・踵骨停止部の内側に術創あり。その深部の癒着があり、スクワット時の疼痛が出現。この部分のsuperficial fasciaのリリースにより疼痛は軽減。その後以下の症状が著明になった。
・スクワット時、下腿前傾に伴ってアキレス腱深部に痛みが出現。踵骨停止部から10cm程度近位まで。
・アキレス腱自体に圧痛、その他の異常所見なし。

<治療>
・内果の後方において、他動背屈中に関節包に対して長趾伸筋を前方に滑らせるようにリリース。これによりFDLの緊張は軽減。
・次にFHLと関節包の間をリリースしようとすると、FHLの可動性が乏しく、リリースできず。また脛骨神経を前方に引き出そうとしたが、アキレス腱との間においてKager's fatと一体化して引き出せず。
・外側からFHLの浅層をこするように近位から遠位に向けてリリースしようとしたところ、アキレス腱の直下に脛骨神経を触知。
・一旦、アキレス腱を内側に移動させるようにリリースした後、FHLから脛骨神経を内側に向けてリリース。FDLとFHLとの間のスペースの脛骨神経が移動することにより、アキレス腱の緊張が著しく軽減。
  
 
以上の後にスクワットを行うと痛みが消失していました。脛骨神経の外方偏位ということが起こりうるのかわかりませんが、術後の癒着や長期間の背屈制限に伴って起こった可能性もあります。当人のエコーやMRIを探してみたいと思いますが、このような経験のある方はぜひ教えてください。
 

 
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